2021.05.09　ナオミから学ぶこと

旧約聖書『ルツ記』に出て来る女性ナオミは、日本人にも親しまれる名前である。最近よく聞く女子プロテニス界世界ランキング二位の大坂なおみ選手もこの名前である。女性で活躍する人は各界におおぜいいる。先日、95歳で亡くなられた著名な脚本家（シナリオライター）橋田寿賀子さんもその一人である。とくにTVドラマ「おしん」は高視聴率で、アジア各国でも評判だったという。数々のヒット作品を生み出した方で、庶民の人間模様の機微を描く才能に恵まれた人だという。人間の喜怒哀楽や、願いなどを知るためには大いに参考になる。

しかし、彼女から神を知ることはできない。なぜか。95年の間、神と関わり、神と歩んだという経験がほとんどないからである。神とは何か。人間を創造した方である。人間の霊魂は、「神のかたち」である（創世記2:26-27）。神の言葉を知り、神を知ることによってはじめて霊魂が生きる。そして、正しく導かれる（詩篇23:3）。ナオミは神と関わりをもつようになった。神は彼女に何をされたのだろうか。

ヘブライ語で「ナオミ」は、「楽しみ」という意味。彼女は結婚し、二人の息子を得て、しあわせな楽しい日々を送っていた。ところが、ある年、雨がさっぱり降らず、国中が飢饉に陥った。農業国はいまも天候に大きく左右される。畑も家畜も生活も仕事もすべてダメになる。いま新型コロナで世界が大きな被害にあっている。ナオミの家族は土地を売って、隣国モアブへ移住した。馴れない外国で苦労をしながら十年が経った。息子たちは地元の女性と結婚し、モアブに馴染んでいった。

ところが、突如二度目の災難に見舞われた。夫が亡くなり、続いて二人の息子も相次いで亡くなった。ナオミは悲嘆にくれた。当時は今と違って、男性社会であり、女性だけでは収入も少なく、生活維持さえ大変だった。途方に暮れ、行き詰まったナオミはどうしたのか。

困っていた時、ふと風の便りに、故郷のうわさを聞いた。飢饉は去り、神の顧みを受けていると。他に頼るものを何ももたない彼女は神に心を向けた。神に頼ろう。どん底になってはじめてそのような気になった。二人の嫁に告げた。故郷に帰り、神を頼ることにする。あなたたちは残って、いい人に巡り合い、しあわせに過ごしなさいと。一人の嫁は解放されたと喜び、実家へ帰ったが、もうひとりの嫁は、ナオミから離れないと言い張った。

神だけに頼ろうとするナオミに神が答え、嫁ルツの心に働きかけて、新たな思いと願いをルツに与えられた。思いもよらぬ神の備えにナオミは驚いた。二人は帰った。神はルツの心に答え、ボアズとの出会いを与えられた。ボアズはルツを妻に迎えた。家族三人は神の新しい祝福を味わう。後にダビデ、そしてイエスが備えられていく。