2019.06.23　羊を狼の中に送るようなもの

イエスは十二弟子を二人一組として、ガリラヤ湖の北周辺の町々村々に宣教に遣わすにあたり、いくつかの留意点を話された。キリストに好意的な人ばかりではない。反対する者、迫害する者もいると。とくに保守的な考え方をする人に多い。旧来の伝統・習慣を守ろうとする。そういう人の前に出たら、恐れず証しなさい。何をどう言えばよいのかと心配しなくてもよい。言うべきことは聖霊さまが示してくださる。

まず家の者たちが反対する。わたしもかつて、ある婦人の家で家庭集会を定期的にしていたが、ご主人がキリスト教に反対で、洗礼を受けたら離婚すると脅しておられた。ある時、「先生、来春主人が定年で退職します。家庭集会ができなくなるかもしれません」と言われた。実際にそうなった。そうかと思えば、別な人だが、奥さんの聖書をズタズタに破ったご主人が、後年忠実に礼拝を守るようになったという例もある。さまざまである。

国により、時代により、反キリスト社会になる。日本も徳川時代がそうだった。組織的な迫害が明治時代になるまで続いた。迫害に対して主は、「最後まで耐え忍ぶ者は救われる」と言われた。何が救われるのか。霊魂である。生活の救い、身体の救いもあるが、霊魂の救いこそ、まことの救い、永遠の救いである。「からだを殺しても、魂を殺すことのできない者たちを恐れるな。からだも魂も両方滅ぼすことができる方（神）を恐れなさい」（マタイ10:28）。

福音を伝えなさい。それによって人々の福音に対する反応が明らかになる。受け入れる者と受け入れない者に分かれる。さらには、受け入れた者がキリストの事を人の前でも語れるかどうか。大平首相は若い時に洗礼を受けたが、後に、「信仰は人に見せるものじゃない。心に仕舞っておくものだ」と言ったそうである。政治家は投票で浮かびもするし、沈みもする。キリストを口にすれば票に影響する。それを考えての言葉だったのかもしれない。イエスは言われた、「スズメ一羽でさえも、天の父の許可がなければ地に落ちることはない。神はあなたの頭の髪の毛までもみな数えておられる。恐れるな」と（29－31）。キリスト教の宣教師たちは、フランシスコ・ザビエルが刀を身につけた者たちが互いに争い合う恐ろしい戦国時代の日本に来たように、命がけで世界の各地に出て行って、キリストを宣べ伝えた。