2021.07.04　エルサレム神殿の幕が二つに裂けた

１．先週話したように、午後 3 時頃、イエスは「エリ、エリ、レマ、サバクタニ（わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになるのですか）」と大声で叫ばれた。そして、「わたしは渇く」（ヨハネ）と言い、「わたしの霊魂を御手にゆだねます」（ルカ）と言って、息を引き取られた。「わたしは渇く」は、霊魂の渇きだった。神の霊によりいつも潤されていたイエスの霊魂が、神の霊が去ったことで激しい渇きを覚えられた。これは神の霊に潤される経験をもつ者だけが知る渇きである。神の霊による潤いがない霊魂は、砂漠や荒れ野のような状態になる。山犬、ダチョウが住みつく。それらは、家畜のように役立つことがほとんどなく、自分のためだけに生きるものである（イザヤ43章）。

２．イエスが息を引き取られると、エルサレム神殿の聖所と至聖所を隔てる幕が二つに引き裂かれるという不思議な出来事が起こった。これは何を意味するのか。

昨年 5 月、幕屋を学んだ。聖所には、オリブ油を燃して灯りとする燭台、パンを12個並べたパンの机、薫香を焚く祭壇の三つが置いてある。祭司は油を皿に満たし、日毎にパンを新しいものと取り換え、薫香を聖所内に満たす。幕屋は後に神殿にかわり、神殿はキリスト以後、人の霊魂にかわった。つまり、わたしたち自身が霊的な幕屋、神殿となり、さらに霊的な祭司となるのである。と言っても、キリスト信者がすべて自動的にそうなるのではない。聖所の前に、燔祭の祭壇がある。旧約時代は動物がその上にささげられた。キリストの登場により、イエス・キリストが十字架刑を受けて、自分を燔祭として神にささげた。へブル書 9章は、イエスが自分の血を携えて天の幕屋（神殿）の中に入られたと言っている。大祭司として至聖所にまで入られた。イエス・キリスト以後は信者各自が自身を燔祭として神にささげるように求められている（ローマ12:1、6:13、第二テモテ2:15、マタイ26:39）。それをする信者だけが聖所に入れられ、かつその人の霊魂が新約の聖所となる。その霊魂に、聖霊の燭台、みことばのパンの机、そして神への感謝、賛美、礼拝をささげる薫香の祭壇が置かれる。さらに至聖所にも入る。旧約来の神殿の物質的至聖所には、神と隣人への十の戒め（～するな）の箱が置かれたが、キリストの新約の霊的至聖所には、神と隣人への新しい戒め（愛せよ）が置かれている。そこに入るとはどういうことか。キリストと同じ思い、同じ願いをもつようになることを意味する。キリストの願いとは、この世にいる「神の民」がキリストに結ばれ、彼から霊的命と霊的光を日々受け取って学び、地上と御国で神とキリストに「仕える者」となることである。