2020.11.08　レプタ２枚をささげたやもめ

マルコ12:41-44、ルカ21:1-4

イエスは神殿の「トレジャリー・チェスト」（神殿にささげるコイン箱）の向かいに座って、コインを入れる人たちを見ていた。裕福な人たちはジャラジャラと入れた。ところが、貧しいやもめが来て、小さなレプタ銅貨を2枚、ポトリ、ポトリと入れた。イエスは弟子たちを引き寄せて言われた、「あの貧しいやもめはだれよりもたくさん箱に入れたよ」。弟子たちは意味がわからず、互いに顔を見合わせた。「よく聞きなさい。みんなは、ゆとりある中からささげたが、あの婦人は貧しい中から、生活費のすべてをささげた。だからだれよりも多くささげたのだ」と言われた。

当時、ユダヤの通貨であるレプタ2枚は、ローマ帝国の通貨1アサリオン（通称：アス）の四分の一に等しい。それで何が買えるのか。パン一個は2.5アスほどだから、レプタ2枚では一個の十分の一つまり、わが家で言えば、毎朝食べる5枚切りの食パンの半分の薄さになる。

レプタ2枚は微々たるものだ。だがイエスは金額よりも、ささげる人の心を見られた。やもめはどういう心だったのか。もし今日ささげなかったとしても、彼女の生活は明日破綻する。だから彼女は、今日神にすべてささげた。

このやもめを見て、わたしはエリヤとザレパテのやもめを思い出した（列王紀上17章）。当時パレスチナ一帯は雨がなく、深刻な飢饉に見舞われた。フェニキア（いまのレバノン）のシドンに近いザレパテに住むやもめは、残り少ない粉と油を見て、神に助けを求めて切に祈った。すると神はエリヤを遣わされた。しかしエリヤがパンを持ってきたわけではない。逆に彼は、やもめに、「まずわたしに一口のパンを」と求めた。やもめが神に祈っていなかったとしたら、すぐに拒否したであろう。しかし祈っていたから、エリヤが告げた神の言葉を信じようと思い、従った。神に祈っている人は、神が与えるチャンスを捉える。ふだんの祈り（神との交わり）が大切である。神は、みことばを信じ、従った彼女とエリヤに奇跡をもって、日々パンを与え、養われた。この話はユダヤではよく知られている（ルカ4:25-26）。イエスがほめたやもめも知っていたのではないか。彼女はそれに倣い、残りのすべてをささげたのである。聖書の例に倣う者も神から祝福を受ける。

礼拝では、この後、チョー・ヨンギ牧師の証を紹介した。会堂建設の途中、中東戦争になり、産油国が減産、値上げをしたため、建設資材が高騰し、建設会社が契約見直し（請負価格の変更）を求めてきた。チョー牧師は悩み、苦しみ、神に祈りつづけた。その時、一人の老婦人が来て、牧師に自分の「茶碗」をささげた。この事から奇跡が起こった。