2025.02.02　ナオミとルツ

　旧約聖書には、神への信仰を働かせた女性たちが何人か紹介されています。ナオミとルツもそうです。ナオミの時代に飢饉が発生し、家族四人が東の隣国モアブに移住しました。10年が経ち、ナオミの二人の息子はモアブの女性とそれぞれ結婚し、一家の生活と心に余裕ができました。ところが、大変なことが起こりました。夫が死に、続いて二人の息子も後を追うように死んでいったのです。残されたナオミは嘆き悲しみ、「どこまでわたしを苦しめるのですか！」と、怒りを神にぶつけました。『ヨブ記』のヨブの場合もそうでした。神を非難しています。度重なる不幸を経験すれば、だれだってそうなるでしょう。しかし、ナオミはそれだけではなかったのです。神と自分との関係、神とどうかかわってきたのかと考えたのです。そこでわかった事は、家族と生活を中心において、神を中心においてこなかったということに気づきました。心の中心に置いたものが、今取り去られ、激しく動揺している。根本が間違っていたと気づいたのです。やり直そう。神を心の中心に置き、神を頼る生き方に切り替えようと決意しました。ここが彼女の信仰です。嫁に頼る選択肢を捨て、二人の嫁を自分のもとから解放して実家に戻すことにしました。これは信仰の告白（表現、行動）です。ナオミの思いやりに心打たれた嫁のルツは、生涯ナオミに仕えていきたいと決意し、彼女にとっては異国であるユダヤについていくと言い張りました。ここにも神の摂理が見られます。

　二人がベツレヘムに着いたのは麦刈りの時でした。ルツは麦畑で落穂を拾います。貧しい女たちが互いに利を競い合うので、外国人ルツに容赦のない圧力が及びます。めげずに毎日拾っていると、畑のオーナーの目に留まりました。ルツの事情を知ったオーナーは感心し、彼女に親切にするよう畑の監督に指示します。ルツはその事をナオミに報告しました。ナオミはオーナーが親戚のボアズだと言い、麦刈りが終わったら、彼の寝所に入りなさいとルツに言います。ルツは指示に従いました。ここがルツの「信仰の従順」です。さらに自分を捨てたのです。朝、目覚めたボアズは驚き、ナオミの指示だと知って、悟りました。律法の親戚の義務規定に気づいたのです。もうひとりの有力な親戚がルツを娶ることを辞退しました。ボアズが娶りました。ボアズとルツ、この二人のひ孫に、あのダビデが生まれ、イスラエル王国を名実共に樹立していくのです。信仰に働かれる神の摂理がここでも見られます。