2019.03.03　重い皮膚病の人の癒し

マタイ5:1-2に、イエスは小高い山に登り、群衆に説教をされたとある。説教の内容は5-7章である。話を終えると山から下りて来られた。その時、一人の重い皮膚病（以前はライ病と呼ばれていた）を患う男性がイエスの前に駆け寄り、ひれ伏して、「主よ、みこころでしたら、清めていただけるのですが」と言った。

この病についてレビ記13-14章が記している。外を歩く時は口を手で覆い、「汚れています、汚れています」と言わなければならなかった。人々と一緒に暮らすことはできず、常に隔離された。瀬戸内海の長島愛生園（岡山県）、大島清松園（香川県）など日本でもこの病気の人は島に生涯隔離された。みんなと一緒にイエスの話を聞きたいと思っても、それが許されなかった。衣服も「あちこち引き裂いた」ものを着なければならなかった。他の人に一目で分かるためである。イエスの前にひれ伏した男も、引き裂かれた衣服を身にまとっていたから、すぐわかった。

イエスは彼の心情を読まれた。引き裂かれているのは衣服や皮膚だけではない。何よりも心が悲しみと苦しみで、ずたずたに引き裂かれている。主は彼に近寄り、身をかがめて手を伸ばし、彼に触れて言われた、「そうしてあげよう。清くなれ」。すると即座に癒された。手や顔が無造作に、まだら白になり、所々裂けて肉が膿を帯びたり、すでに腐って凹んだり、変形して全体が醜くなっていたのが、すっかりきれいな皮膚と形に戻っていた。男は自分の手を見て驚き、顔をなぞってまた喜んだ。大粒の涙を流しながら、もう一度両手を高く挙げて、大きくひれ伏した。弟子たちはそれを見て共に喜び、神を賛美した。

イエスは言われた、「祭司のところへ行って、見せなさい」。なぜ祭司のところに行けと言われたのか。判定者は祭司である。祭司が、「あなたは清い者です」と告げるのを聞いて、男に「二重の喜び」を味わせてあげたかったからではないか。

わたしたちも福音により、「二重の喜び」を味わう。イエスの十字架の死による「罪のゆるし」という喜び。イエスの復活と昇天、そして「聖霊を受けて、祈り求める者たちに注がれる」（使徒2:32-33）という経験。これにより、霊魂は「神のいのちを受けて、生かされる」。前者は後者のためにあると言えます。