2023.03.05　苦難と祝福、ヤコブの人生の前半

福音はイエスの十字架の死と葬り、そして神による復活、栄光であるが、「苦難と祝福」というパターンは旧約聖書のヤコブ、ヨセフ、ダビデにおいても見ることができる。創世記27-35章からヤコブの場合を見ることにしよう。神が彼にどこで、どう介入されたのかを見て神を知り、学び、神への信仰にそれを生かしていけば、わたしたちにとっての祝福となると思う。

ヤコブの父イサクは、高齢で視力が効かなくなった時、長男エサウに神の祝福を受けさせたいと思い、彼にシカの肉を調理してもってくるようにと言った。エサウはシカ狩りに出かけた。これを知った母リベカは弟のヤコブに祝福を受けさせたいと思っていたので、ヤコブをエサウに仕立て、肉を調理してイサクのもとに行かせた。イサクはヤコブとは気づかず、肉を食べた後、ヤコブに祝福の祈りをした。後にエサウが知って怒り、ヤコブを殺すとまで言ったので、ヤコブは遠い母の実家めざして逃げることにしたが、心中は冬の海のように荒れて暗く、後悔、不安、孤独が波打っていた。

ある夜、石を枕に眠っていた時、一つの夢を見た。天まで届くハシゴがあって、天使たちが上り下りしていた。すると神がヤコブに言われた、「わたしはあなたの祖父と父の神である。あなたの子孫は多くなって、東西南北に広がり、地の諸国民はあなたと子孫によって祝福を受ける。わたしはあなたと共にいて守り、この地につれ帰る」と。彼は驚いた。父イサクがこの前祝福の祈りをした時に語った事と同じ事を神が語られたからである。この経験を忘れないようにと、枕にした石を立てて油を注ぎ、記念碑とした。

ここで二つの事を学ぶことができる。心に後悔、不安、孤独がある時は、神と出会う可能性があるということ。神を信じる父の祈りで聞いた、神の祝福についての言葉を、後日神自身の言葉で確証が与えられたということ。この出会いと確証を得て、ヤコブの心は明るくなった。母の兄ラバンの家に迎えられた。妹娘を気に入り、彼女と結婚するため7年間ラバンに仕えた。だが当日の夜、ラバンは姉娘をヤコブの寝所に送った。翌朝気がついて抗議すると、それが順序だと言われ、妹娘のために、もう7年仕えるように言われた。腹立たしいが、こらえて仕えた。姉娘からは続けて4人の男子が産まれた。妹娘は一人も産まれなかった。妹娘は自分の仕え女によって子を産ませた。すると姉娘も自分の仕え女によって子を産ませ、二人は互いに競い合った。こうしてヤコブは12人の男子を得た。この事でもヤコブの苦難と祝福、そして神の介入が見られる。