2022.12.25　弱さが強さとなり、貧しさが豊かさとなる

まもなく2022年が終わり、2023年を迎えます。これは西暦です。6世紀のローマの神学者ディオニシウス・エクシウスがイエスの誕生年を特定しようと、歴史や星の運行暦を調べて、紀元1年頃だったと発表した。現在では紀元前4～7年の間と考えられている。『ものみの塔』冊子の配布で有名な、いわゆる“エホバの証人”たちは、イエスの誕生年や世の終わりの年の特定を非常に重視する。計算で何とかはじき出そうとしてきた。わたしたちはイエス誕生時の状況に着目する。羊飼いたちは天使から「救い主誕生の知らせ」を聞いて、ベツレヘムの家畜小屋を捜した。そして、飼い葉桶に眠っている赤子を見つけた。天使が告げたとおりだった。しかし、あまりにもそこは貧しく、そこにいなければならなかった親子があまりにも弱々しく思えてならなかった。さきほどの神々しく輝いていた天使たちの姿とは雲泥の差があった。

じつはわたしたちも、こういうことを経験する。旧約時代のイスラエルがエジプトにいた時、状況は苦しく、自由もなかった。神はモーセを彼らのもとに遣わして、苦境のエジプトから連れ出し、自由で豊かな「乳と蜜の流れる地」へ導こうと語らせた。イスラエルは喜び、モーセに従ってエジプトを出た。エクソダス（出エジプト）である。ところが、紅海を渡った後は「荒れ野」続きであった。彼らは約束が違うと心の中で不満を募らせた。「聞くと見るとでは大違い」だった。ここが問題である。神から聞いた事と、自分が現実に見ている事とでは、天地の開きがある。どちらを選ぶのか。コリント第二4:18「わたしたちは、見えるものにではなく、見えないもの（神のことば、約束）に目を注ぐ」。これが信仰である。神は信仰心に応えて働かれる。奇跡が起こる。

旧約聖書に「ナオミとルツ」の物語がある。ある年、大きな飢饉（雨が必要な時に降らず、作物が枯れ、家畜も多数死んだ）があった。ナオミたち家族は隣国モアブに移住した。二人の息子はモアブの女性と結婚し、しあわせに巡り遭えた。だが、束の間だった。夫が病死し、つづいて二人の息子も後を追うように病死した。ナオミは再び災難に見舞われた。女ばかり三人、この先どうしよう？ 女だけでは生き難い時代や社会であった。思案の結果、嫁たちをモアブの実家に戻し、人に頼らず神だけに頼って生きようと決心した。すると、神が働かれた。嫁のルツが、ナオミにどこまでもついて行くと言った。ルツは異国のベツレヘムで、麦の落穂を拾う働きに従事した。肩身の狭い思いもあったが、続けた。すると神が働かれた。大地主で、異邦人の母をもつボアズと出会った。