2018.04.29　霊魂の豊かさ

１．3:17

「あなたは、自分は富んでいる、豊かになった、何の不自由もないと言っているが、実は、あなた自身がみじめな者、あわれむべき者、貧しい者、裸な者であることに気がついていない」

いまの日本を見ると、確かに生活も社会も驚くほど豊かになった。不自由さをほとんど感じない。いつ頃から豊かになったのか。少し過去を振り返ると、1945年（昭和20年）8月、日本はアメリカを始め、連合国との3年8カ月に及ぶ苦しい長い戦争に大敗し、疲弊し、主要諸都市は次々に爆撃され、破壊され、広島・長崎は原爆を受け、ついに昭和天皇が8月14日、無条件降伏勧告（ポツダム宣言）を受け入れ、終戦となった。戦後の日本は「焼け野原」状態から始まった。ところが奇跡的な復興を遂げ、20年後には何と世界の経済大国の仲間入りを果たし、世界中を驚かせた。

復興・繁栄はまことに結構な事である。だが、それだけで満足するわけにはいかない。根本的な問題が残っている。霊魂の問題である。詩篇90篇に、「われらの齢は70年、あるいは80年でしょう」（10）。「われらにおのが日を数える事を教えて、知恵の心を得させてください」（12）とある。

「おのが日を数える」。つまり寿命である。肉体は物体だから寿命が尽きて死ぬ。ところが人間は肉体だけの存在ではない。神の霊の「かたち」に創造された霊的な存在である。生活や社会的な豊かさは、肉体にとって必要不可欠だが、霊魂にとってはそれ以上のものが必要なのだ。それがないと霊魂（心の深み）は満足も安心も得られない。3:17の後半で、「実は、あなた自身が、みじめで、あわれで、貧しく、目の見えない、裸なものであることに気づいていない」と言っているのは、霊魂の事なのだ。生活にさほど不自由がないのに心の深みは満たされない。むなしさ、不安、はっきりしないものがある。なぜか。霊魂が求めているものを満たしていないからだ。

２．3:20

キリストは霊魂の「救い」を与える方として来られた。キリストはいま霊として働いておられる。彼に謙虚に心を向けるなら、心に短く、静かに語り、示してくださる。それを受け入れるなら、霊魂の「救い」となる「いのちと光のことば」が次々に与えられていく。