2019.11.03　逆風に悩む弟子を励ますイエス

マタイ14:22-34

マルコ6章、ヨハネ6章にも同様の記事がある。ひとりの子どもがささげた「五つのパンと二匹の魚」をイエスが神に感謝し、祝福されると、奇跡が起こり、数千人の空腹が満たされた。ヨハネによると、群衆が感激し、イエスを王にしようとしたため、イエスは彼らを解散させたとある。弟子たちにも、舟に乗って帰るように強いられた。ご自分は一人山にのぼり、祈られた。

弟子たちは舟でべッサイダからカぺナウムに向かった。さきほどのパンの奇跡の話でもちきりだった。「彼らがパンを買いに行く必要はない。あなたがたの手で与えなさいと言われた時はびっくりしたよ」「そうだ。ここにパンはいくつあるかと言われたが、たとえ200デナリのパンがあったとしても、とても足りないよ」「結局、数千人の群衆にあたってみたが、パンをもっている者はだれもなかった。アンデレが見つけた子どもだけがもっていた」「なぜあの子がもっていたのか、不思議だよな」「まったくだ」「その子がささげたパンと魚が、なんと数千人の空腹を満たすとは、おったまげたよ」「まったくだ」。

弟子たちが楽しそうに話し合っているうちに風が出てきた。しだいに風は強くなり、しかも逆風だった。漕いでも漕いでも前に進まない。波は荒くなり、舟は前後左右に激しく揺れる。方向さえも失った。この状態が夜通し続いたため、弟子たちの心はすっかり疲れ、弱り果てた。祈ることもできない。一方、イエスは弟子たちの悩める状況を霊の中で察知された。彼らに近づこうと、逆巻く波の上を歩いて舟近くまで行かれた。弟子たちは幽霊かと恐れた。「落ちつきなさい。わたしだ。恐れるな」。

「あなたでしたか。では、わたしに命じて、あなたの所に行かせてください」とペテロが言うと、イエスは「おいでなさい」と答えられたので、ペテロは舟から下りて、波の上を歩いた。ところが途中でイエスから目を離し、自分を見た時、波の上を歩いている自分が恐くなり、恐怖が心を支配した。するとズブズブズブと沈んでいった。「主よ、お助ください！」。イエスはすぐ手を伸ばし、彼を引き上げた。「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」と言われた。

二人が舟に乗り込むと、風は止んだ。弟子たちは驚きの連続だった。ペテロが叱られたのは、彼の大胆な試みに対してではなかった。イエスから目を離して自分の現状を見たからである。300名礼拝を掲げたのなら、現状を見てはいけない。成ると信じつづけよう。